省エネルギー型製造プロセス:大気圧プラズマを用いた表面前処理による効率性の改善

そもそも、消費しないエネルギーを生産する必要はありません。プラズマ技術は、大量のエネルギーを消費する旧式の製造プロセスから新しいプロセスへの全面的な切り替えに貢献する技術です。例えば、従来の溶剤プロセスにおける乾燥工程では、ドライインラインプラズマプロセス(高エネルギー効率性表面処理)よりも遙かに大量のエネルギーを必要とします。

軽量構造や断熱に新型材料を使用する場合にも、同じ事が言えます。Openair-Plasma®テクノロジーは、多くの工業用途において、全く新しく、完成までの期間が短い省エネルギー型製造プロセスの実現を可能にする技術です。 

特にエネルギー効率の問題に関しては、総合技術としてのOpenair-Plasma®を利用してプロセスを最適化することにより、ほぼすべての工業生産分野において大幅な省エネルギーを実現することが可能であることが明確に証明されています。  

溶剤に代わるプラズマ処理:ドライプロセスを利用した環境に優しい省エネルギー

大気圧条件下におけるプラズマ技術は、インラインへの組み込みが可能であることから、多くの工業用途の製造プロセスの設計を全面的に見直すことができます(プロセスの最適化)。また全ての表面処理プロセスをドライ条件下で実行するため、省エネルギーを実現する最も大きな可能性を秘めています。大量のエネルギーを必要とする乾燥プロセスは必要ありません。その他にも、さまざまな毒性化学薬品を使用・処分する必要をなくすことができます。

長年にわたり、被加工品にプラズマコーティングを施す方法を採用することにより、乾燥プロセスの不要化に成功してきました。プラズマコーティングを利用すれば、新たな機能を付加することができます。また多くの場合、塗装などの従来型コーティングプロセスと比較して、ごくわずかな費用で実施することが可能です。

これまで、プラズマコーティングを実施するためには、PVDなどを用いた低圧プロセスやスパッタリングプロセスを利用する必要がありました。しかし現在ではOpenair-Plasma®プロセスとPlasmaPlus®を組み合わせることにより、チャンバーシステムを製造ライン外で使用する必要がなく、標準圧力下でプラズマコーティングを施すことができます。  

軽量構造による省エネルギー:大気圧プラズマを用いた新材料の確実な接合

軽量構造を使用する目的は、製品の製造、組立、輸送、使用における資源の使用量を節約することにあります。軽量構造材を実現するため、従来型材料(鋼など)の代わりにGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)などの新材料や複合材を使用しています。それにより、原材料コストの削減に加え、製造のエネルギー効率を改善する他、物流コストも大幅に削減することができます。

例えば航空機の設計では、軽量化が極めて重要な要素となります。1 kgの軽量化を行うことにより、航空機の耐用年数を通して5000トンのケロシンを節約することができます。鉄道車両や乗用車、特にトラックにも同じことがいえます。最新型トレーラーの設計では、車両総重量の軽量化により最大限の積載量を確保しています。

これらの要件を満たすためには、軽量構造や、各種複合材を組み合わせて使用する必要があります。プラズマ処理を施すことにより、全く新しい材料の組み合わせを実現できることがあります(プラズマ接合技術)。ドイツにおける最大手トレーラー製造企業2社では、長年にわたりプラズマトリート社のOpenair-Plasma®テクノロジーを採用し、成功を収めています。  

軽量構造にOpenair-Plasma® 接合技術を効率的に使用している例:

  • プラズマ接合技術を用いて各種材料の確実な接合(例:プラスチック金属組立品、サンドイッチコンポーネント、繊維強化材料)トラック上部構造の構造接合造船用パネル処理家具業界におけるWPC軽量構造パネルのプロファイルラッピング新種材料の研究(ナノプロセス、ナノコーティング)

サンドイッチエレメントによる断熱:プラスチック・金属表面層とPURフォーム(ポリウレタン)の確実な接合

建造物の断熱は、一次エネルギーを節約する最大の機会を提供する技術の一つです。最新型の断熱方法では、サンドイッチパネルを設置し、断熱機能を高めています。それにより、冬季には建造物からの熱放散を抑え、暖房費を削減します。一方、夏季には断熱機能により、生活空間、職場、貯蔵区画の無用な温度上昇を防ぎます。

商業用建造物の建築には、断熱性熱硬化性樹脂に鋼製カバー層を備えたサンドイッチ上部構造を使用します。このサンドイッチエレメントは、断熱機能の他、外壁としての静的機能や、窓・ドアの支持材としての機能も果たします。この種の商業用建造物壁の静的特性を確保するためには、PURフォームを最上層に確実に接合することが極めて重要な要因となります。

特に温暖化効果が懸念されるR11高圧ガスの代わりに、R141高圧ガス、ペンタン、水発泡性フォームを採用したことにより、最上層へのPURフォームの接着に深刻な問題が生じています。

大型パネルにOpenair-Plasma®前処理を施すことにより、プラスチック、ガラス、金属へのPURの接合機能を大幅に改善することができます(プラズマシステムによる表面活性化)。 現在、プラズマ技術は、パネル製造用の連続ダブルラインシステムや非連続システムの製造に採用され、世界的に大きな成功を収めています。

この分野における興味深い成功例

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エネルギー効率に優れたプロセス:プラズマ処理による低温加工・高速プロセス

接合、ラミネート加工、塗装など、各種材料を組み合わせる場合、確実に接着を行うためには、表面張力と表面の清浄度が極めて重要な要素となります。多くの場合、十分な接着特性を備えるためには、製造プロセスにおいて、特定の加工温度を用いて材料を処理する必要があります。一般に、このようなプロセスは、極めてエネルギー集約度の高いプロセスとなります。それとは対照的に、プラズマ処理は非常に効果的な表面前処理法であり、しかも省エネルギーが可能な代替法です。

Openair-Plasma®大気圧プラズマを利用すれば、多くの用途で使用温度を大幅に下げることができます。   それにより多くの場合、加熱プロセスの時間を短縮するか、あるいは完全に省略することができます。また代替コーティングシステム(紫外線硬化システムなど)を使用する場合のオーブンの乾燥についても、同じ事が言えます。

コイルコーティングの成功例:Openair-Plasma®クリーニング(超微細クリーニング)とプラズマ活性化を利用すれば、紫外線硬化塗料を使用することができます。 それにより、従来型システムと比較して、システム全体の構成を25%削減することができます。

アニール処理に代わるプラズマクリーニング:金属、ガラス、セラミックのアニール処理・加熱処理時の省エネルギー

現在でも、さまざまな業界でアニール処理プロセスが頻繁に利用されています。このプロセスは、Openair-Plasma®前処理よりも遙かに多くの時間とエネルギーを消費します。  アルミホイルなどの製品の場合、アニール処理炉を使用して高温で数日間処理し、オイルやグリースを分解・蒸発させてライトグリースのクリーニングを行う必要があります。

プラズマプロセスでは、非常に効果的に熱を伝導することができます。そのためOpenair-Plasma®クリーニングとアニール処理プロセスを組み合わせることにより、プロセス時間を大幅に短縮することができます。  実際、72時間かかっていたプロセスを10分まで短縮した例があります。また多くの場合、熱処理過程が完全に不要化されます。

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